「もっと仕事をしよう。早く仕事をしよう。さっさとやろう、テキパキやろう、急いでやろう」これらは、働く若い世代のモットーのように思えます。何かにとりつかれたように長い時間働き続け、一日中ほとんど食事もせず、仕事以外のことをする時間がないことが名誉であるかのようです。これは、仕事への献身と「何としてもやる」という精神を表しています。
しかし、スピードを落として作業量を減らし、休息の時間を取ることで、実際に生産性を向上させてより持続可能なワーク ライフスタイルを実現できないでしょうか? 結論から言うと、実現できます。
「ちょっと待った、『休憩』と『仕事』は根本的に異なるものではないか? 作業量を減らして、どうやって生産性を向上できるのか?」と思われるかもしれません。
研究者であり、シリコンバレーのコンサルタントでもある Alex Soojung-Kim Pang 氏はまさしく、仕事と休憩のバランスの重要性と、この 2 つが実際にどのように重要な結びつきを形成するかについての本を執筆しました。
その著書のなかで、仕事を頑張るには休憩も必要だと説明しています。「休憩は残り時間でオプションとして選択するアクティビティではありません。仕事と休憩は実際にパートナーです。波に高低差があるように、休む時間がなければ最高のパフォーマンスは発揮できません。より適切な休憩の取り方をすると、作業の効率も上がります」と述べています。
一休み ⏸ しましょう。意図的に作業を減らすメリットと、元気を取り戻して生産性を最大限に高めるために休息を最適化する方法をご確認ください。
休息が燃え尽き症候群の症状を軽減
当たり前のようですが、終点が見えないまま全速力で前進すると、疲れるだけでなく、生産性、チームの士気、従業員の健康に悪影響を及ぼします。確かに、年間を通して数週間は、多忙で、ストレスを抱え、疲弊していると感じることがあるかもしれませんが、この状態で長期間持ちこたえることはできません。
どこかの時点で、苛立ち、モチベーションの低下、身体的な疲労、集中力の欠如や、仕事、チーム、生活に対する圧倒的に悲観的な感情などの、燃え尽き症候群の症状に苦しむのは必至です。
ご想像のとおり、燃え尽き症候群は多くの場合、ワーク ライフ バランスが保てない、またはほとんどの場合、極端に不均衡になることで起こります。
では、ワーク ライフ バランスを最適化し、状況を管理、明確化し、活力を取り戻すにはどうしたらよいでしょう。まず最初に、自分自身と仕事の間に適度な距離感を保つことです。仕事にあまりにも多くの時間を費やしてきているため、あなたは明らかにイライラし始めています。
この距離感を確保するには、自分の燃え尽き症候群の感情をマネージャーと話し合い、解決策をいくつか提案します。たとえば、チーム メンバーへのタスクの再委任、休暇の取得、締め切りの延長、仕事とプライベートの時間との境界線の設定です。そうすることで、厄介な恐怖感が消えてエネルギーが回復してきます。
休息は生産的
AI 研究者であり作家でもある Max Frenzel 氏は、「特に創造力と革新性を必要とする種類の優れた仕事には、積極的に仕事に取り組む時間と同等に、休息とリラックス効果が必要です。休憩時に、私たちの脳は記憶を整理して、発生した問題に対する解決策を静かに検索しています」
休憩の時間を増やして積極的に作業に取り組む時間を減らすと、創造力や問題解決の能力が高まるだけでなく、作業の効率が上がります。
Basecamp では最近、週末を 1 日増やし、週4 日間勤務を試みました。結果として、従業員は 5 日分の作業を 4 日間で処理できました。同社はまた、この試みの 4 日間勤務時に、従業員が毎週リフレッシュして出勤し、より一貫した前向きな態度で、より積極的かつ効率的に業務を行ったと報告しています。
休息を優先することで、仕事 (と自分自身) を優先させているのです。これはどういう事か、もう一度読み、じっくり考えてみましょう。休息を取った心身は、より精力的に、集中して、働く準備を整えて、タスクや課題に取り組めます。その結果として、生産性が上がります。
休憩でチームの全体像が明確に
ここで想像してみてください。あなたは自転車で長距離を走っていて、急な長い坂に差し掛かったとします。その坂には終わりがないように見えます。そこであなたは目前の地面を見続け、頂上に到達するまで止まることなく自転車をこぎ続けます。
坂の頂上に到達した時には疲れ果て、汗だくです。そこで道を間違えたことに気づき、その汗は冷や汗に変わります。目前のことに集中して坂を上ることに懸命になりすぎたために、間違った坂を上ったことに気付けませんでした。
では、あなたが自転車チームの仲間と一緒にいたと想像してみてください。間違った課題にチーム メンバーのエネルギーが費やされたことで、チームは落胆して不満が募ります。チームが懸命に作業に取り組み、その作業から顔を上げて周りの状況を分析する時間がない場合、簡単に脱線してしまいます。
起業家、アドバイザー、講演者である Andrew Thomas 氏は、「間違った方向に進んでいるとしたら、頑張ることに何の意味がありますか? あまりにも多くの人が、目指す結果が得られない道を辛抱強く進んでいます。それはランニング マシンで走っているようなものです。努力してもどこにも到達できません」と話しています。
プロジェクトの時間の切迫具合やイニシアチブの重要性に関係なく、スケジュールの際にペースダウンを考慮すること、現在うまくいっていることとうまくいっていないことをふりかえる機会を設けること、正しい方向に進んでいるかどうかを特定の時点で判断することが重要です。
プロジェクトの中盤、年半ば、または週の半ばなど、頻繁に立ち止まる時間を設けて、自分とそのチームに次のように問いかけます。
- 重要なことにエネルギーを費やしているか?
- 開始時と同じ目標を持っているか?
- 自分たちの努力によって、その目標を達成できるか?
- うまくいっていて、もっと実行すべきことは何か?
- 違う方法で実行すべきことは何か?
平穏なスケジュールを維持する方法
これまでは、休憩は取ってしまえばそれで終わりでした。休憩がもたらす長期的なメリットを確実に得るには、毎日、毎週、毎月、毎年のスケジュールに休憩を組み込むことが重要です。また、自分には休憩を取る資格があると完全に確信して、その境界線を厳格に維持することも重要です。
交渉の余地なく、無条件で休息を取る
作業の完了は休息の条件ではない点にご注意ください。休息を、仕事をやり遂げた報酬と見なさないようにします。仕事を遂行するために休息が必要なのです。
また、休息は時間がある時に利用する「あれば便利」なアドオンでもありません。仕事の品質を確保してより幸福で健康的な生活を送るには、休息を確実に生活に取り入れる必要があります。
休憩を拡張する
休息を増やすために毎週 1 日休暇を取得するのは楽しいことに思えますが、上司やチームはおそらく好印象を持たないでしょう。その代わり、特定の時間内で必要な休憩を取り、その休憩を適切に拡張することを考えてみましょう。たとえば、「休息の目標」を次のように設定します。
- 毎日、1 時間の昼食休憩を取り、午後 6 時には完全に終業する。
- 毎週、ミーティングのない 1 日と、週 1 回のチームでふりかえりをする日を持つ。
- 隔週金曜日に数時間早く終業する。
- 毎月、1 日休暇を取得、また時間を調整して、他の業務を兼任する余力、エネルギー レベル、士気についてマネージャーと 1 時間話し合う。
- 半月ごとに長期間の休暇 (連続で 4 日間以上) を取得する。
- 毎年、有給休暇を繰り越し、将来その休暇を利用する。
休憩で確実に回復できているかを確かめる方法
これまで、生産性を上げるには休息が重要であることや、休息をスケジュールに組み込む方法について学びました。しかし、休憩を取ることに慣れていないため、休憩を取る方法さえもわからない人がいます。確かに、ソファに座っていれば身体的には「休憩している」かもしれませんが、頭の中で締め切り、メール、プロジェクトについて必死に考えていたら、それは本当に休憩しているでしょうか?
休憩を取っている時間に心身ともに回復するために、確実に効果がある方法を詳しくチェックしましょう。
精神的な疲れを取る方法
疲れ果てた脳では、当然ながら最高の成果は発揮できません。スピードを落として休憩を取る時間を捻出する際には、確実に精神的な疲れを取るようにします。
気持ちをすっきりさせる: 雑事で悩まされている気持ちをすっきりさせる最良の方法は、瞑想です。評判の良いこの健康習慣でもたらされるものは、呼吸と思考をコントロールするための技術です。通常、その意図するところは、何も考えずにその場で呼吸することです。
エネルギーを維持する: 精神的にキャパオーバーになる原因は仕事だけではありません。問題を抱えた友人や感情が消耗する映画など、あらゆるものによって脳は過剰に働いて機能不全だと感じることがあります。境界線を設定して心が完全に平穏になるような選択をして、休息期間中はエネルギーを維持します。
体の疲れを取る方法
頭痛や肩こりのある状態、または元気のない状態でタスクに取り組むと、最高の成果を出せない可能性があります。最高の状態を体感することは、生産性や業績の質に大いに関係しています。仕事を離れて過ごす時間は、体に活力を与えるために休息を取り、体を動かし、栄養を摂取するようにします。
十分な睡眠を取る: 国立睡眠財団によると、十分に休息を取れたと感じ、翌日に備えて心体の疲れを取るには、毎晩、約 7 ~ 9 時間の睡眠が必要だということです。休暇の際に、無理やり多くのアクティビティを詰め込み、最大限に活用しようとする場合があります。しかし、体が再度活力を取り戻すために、まる 12 時間の熟睡を必要としていたら、それこそが体に必要なことなのです。
体を動かす: 体力をつけたり健康的になったりするために、ボディービルダーになる必要はありません。ただ体を動かせば良いのです。毎日 10 分間 でも、器官や筋肉のバランスを回復できるようになります。
健康的な食事を優先する: 栄養状態が良ければ気持ちも前向きになります。お気に入りのデザートを諦める必要はありません。多くの果物、野菜、水分、その他の健康的な食物から、確実に栄養を摂るようにします。
心の疲れを取る方法
「心で感じる」というのはかなり漠然としていますが、誰もがまさに納得できる表現の一つです。究極の休息にさらに楽しみを追加して、心に栄養を与えましょう。
楽しいことをする: 認めたくはないけれど好きな音楽アルバムを聴いたり、アウトドアで時間を過ごしたり、熱中していることを追求したり。誰にでも心から楽しめるものがあります。
自分の声を聞いて、サポートを求める: 今現在必要なことは何か、自分に問いかけてみましょう。夜にセルフケアを思う存分行うことや、パートナーに家事を手伝ってくれるように頼むことが、もしかしたらそうかもしれません。
より多くの仕事をこなすには、立ち止まることが大切
常に、あらゆることをより迅速に実行する必要があるという考え方をやめましょう。自分には休息を取る資格があり、成功するためには実際に休息が必要であるという考え方を受け入れます。
これらのヒントによって、あなたが定期的な休憩を増やしてスケジュールに組み込み、心身ともに疲れが取れたように感じられますように。これまで以上に準備万端の状態で仕事に臨み、待ち受けるどのようなことにも取り組めるでしょう。自分のために一貫して休息を取る頻度を確立したら、チームにも参加するように是非勧めてください。
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