もし、常に忙しくてストレスを抱え、スイッチを「オフ」にできないでいるとしたら、それはあなただけではありません。ワーカホリック (仕事中毒) とはどんな犠牲を払おうとも「前に進もうとする」状態のことであり、身体/精神両面の幸福を損なう危険性のあるものです。加えて、社会的なイベントへの参加を妨げて、自らの睡眠、運動、健康を蔑ろにするものでもあります。常に仕事を求めて全力で取り組む姿勢は、生活の他の側面を犠牲にしてでも働くという有害な生産性をもたらす可能性があります。
働きすぎることは肯定的に捉えられることも多いため、この意識の有害性を見抜くことが難しいのもまた事実です。しかし幸運なことに、これを自覚できれば、有害な生産性から脱却して自分の人生を取り戻すための具体的なステップを踏み出せます。
有害な生産性とは?
リモート ワークの普及に伴って仕事と生活の境界が曖昧になったことにより、多くの在宅ワーカーが働いていることを証明しなければならないと感じています。これによって、仕事を脇に置いて自分自身のことに集中することが一層難しくなっていることも考えられます。
有害な生産性とは、常に「やる」必要に駆られる意識のことです。このような意識においては、息抜きやダウンタイムを取れないと感じかねません。そして、取らざるを得ない状況になっても、他に「やるべきこと」を考えるあまり、気持ちを切り替えてそのような休息を楽しめなくなります。
生産性を高めることはすばらしいことですが、人間関係や健康への悪影響はこの限りではありません。十分な睡眠をとることや愛娘のピアノの発表会に参加することよりも仕事をこなすことの方が重要になったとき、それは問題となります。
このことは、仕事と家庭の間で生じる役割の葛藤やメンタル ヘルスに大きな影響を与えることが研究でも明らかになっています。
多くの場合、このような有害な意識はやがて燃え尽き症候群につながります。息抜きは本当の意味での生産性を高めるために不可欠であり、それがなければアウトプットの質は低下してしまいます。ガス欠の状態で、はたして価値のあるものを生み出せるでしょうか? 難しいでしょう。気付いたときには、与えるものが何も残っていないことも考えられます。
また、有害な生産性は、人生の困難な問題に対処するための回避策になることもあります。なんの前触れもなく忍び寄って、不快な状況がやがて本格的な危機へと変わるのです。しかし、こうでなくてはいけないわけではありません。
ワーカホリック対策にもなる有害な生産性を防ぐ5つのコツ
働きすぎないことは可能です。それでは、ワーカホリックへの対策をいくつか見てみましょう。
1. 重要なことに集中する (緊急なことだけでなく)
1 日を、次々とやってくる危機的状況の回避や緊急タスクへの対応に費やすことは難しくありません。すべてを成し遂げようと急ぐあまり、結局他人の関心事ばかりに注力して自分自身が本当に優先すべきことを見失いがちです。最悪の場合、どうすることもできない無力感に苛まれることすらあるでしょう。
これへの対処法として、To Do リストの内容を見直すことで、重要なことが必ずしも緊急とは限らないことを確認してみましょう。より効果的にタスクの優先順位をつけるすばらしい方法の 1 つに、アイゼンハワー マトリックスがあります。
このマトリックスは単純で、一方の軸が重要性を、もう一方の軸が緊急性を表しています。その結果、次の 4 つのカテゴリーに分類されます。
- 緊急かつ重要
- 緊急ではないが重要
- 緊急だが重要ではない
- 緊急でも重要でもない
第 1 象限は明らかに第 1 優先事項です。その後、毎日、第 2 象限のうちの何かに取り組む時間を確保します。3 と 4 に関しては最小限の効果しか与えず時間だけを浪費する可能性が高いため、避けるべきと言えます。
これを実践することで、個人的にも仕事上でも自分自身や人生にとって意味のあることを確実に進められます。
2. プロフェッショナル デタッチメントを実践する
これは、馴染みのない言葉かもしれません。しかし同時に、有害な生産性から脱却して燃え尽き症候群を回避するためにできる、最も効果的な方法の 1 つでもあります。
Laurie Ruettimann により提唱されたプロフェッショナル デタッチメントというこの概念は「仕事における自分の役割が、自分のアイデンティティの核心ではない」ことを理解することを意味します。つまり、仕事を中心とした生活や価値観を持たずとも、生産的で献身的な生活を送れるという考え方です。
では、これを達成するためにはどうすればいいのでしょうか? まず、自分自身が仕事のみによって形成されているわけではないことを理解することです。キャリアは人生の一部分に過ぎません。仕事で何か失敗したとしても、それは人間としてのあなたの価値を反映するものではありません。視点がすべてなのです。
3. 何もしない時間を確保する
毎日 (それが無理なら毎週) 完全にシャット ダウンする時間を設けます。次のアイデアを参考に、ぜひ実践してみましょう。
- 目的地を決めずに散歩をする。
- 瞑想する。
- 芝生に寝転んで、雲が流れていくのを眺める。
- バードウォッチングに行く。
これらの活動は、意図的に非生産的なものです。何か大きな目標を達成するためではなく、その行為自体に意味を見出すために行うのです。時間をかけて行うことによって、常に「生産的」であるという必要性が和らぐはずです。
スイッチを切ることも重要です。携帯電話の電源を切る。ノートパソコンを閉じる。スマートウォッチを外す。様々な妨害を排除することで、より注意深くより集中できるでしょう。スイッチが常に「オン」の状態であることに慣れていると、少し違和感を覚えるかもしれません。しかし、一度慣れてしまうと、もう元の状態には戻れなくなるはずです。
4. 仕事時間とプライベートな時間の境界線を明確にする
仕事とプライベートの時間にメリハリをつけることで、ワーク ライフ バランスを取り戻せます。それは、時計に刻まれた時間かもしれません。子どもの帰宅時間かもしれません。または、夕方始まるジムのレッスンかもしれません。
代わりに何をすべきでしょうか? 家族と過ごしたり、好きな趣味に没頭したり、少し多めに睡眠をとったり。ストレスを感じたり落ち込んだりするのではなく、すっきりとした気分で仕事に戻りましょう。
仕事においても、この境界線をおろそかにしてはいけません。健全な作業環境を保つためには、チームとの境界線を確立することが重要です。(意図があろうとなかろうと) 同僚には簡単に振り回されるものです。
5. スケジュールに息抜きの時間を組み込む
あなたのカレンダーは、会議やその他の予定でいっぱいのことでしょう。実際に、その量は月平均 62 件とも言われています。多くの人は残されたわずかな時間の中で、取り組むべき実際の仕事をこなそうとします。そしてその後、職場を離れて、同じように多くの予定で詰まった私生活に飛び込んでいきます。
有害な生産性に対抗する手立てとして、予定を「緩衝材」で埋める機会を求めることが有効です。たとえば、会議の前後に 10 分から 15 分ほどのゆとり時間を持たせて、準備や息抜きに割く方法があります。フィーカ*を楽しむのもいいでしょう (*スウェーデン式のコーヒー ブレーク、コーヒーを飲みながら甘いものを食べる)。また、フランス文化にならって、しっかりとしたランチを楽しむのもいいかもしれません。
どのような形であれ、エネルギーを管理して自分を消耗させず、実際の生産性を高めるために、要所々々で息抜きをすることをお勧めします。
生産性低下の原因になる毒をしっかり取り除く
健康的な生産習慣を身につけたら、適切なサウンド トラックでワーク ライフにスパイスを加えましょう。ホワイト ノイズからモーツァルトまで、息抜きと生産性向上を目的とした聴覚体験の発見に役立つ、研究に裏付けられた生産性向上プレイリストのガイドをご活用ください。
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