皆さんは週次のチーム ミーティングのまとめに差し掛かっているとします。あらゆる種類のプロジェクト、目標、新着リクエストについて話し合って、それぞれがメモややるべきことを慌ただしく書き留めました。
解散する準備はできましたが、全員が次に何をすべきか不安げな表情で周りを見渡しています。
チーム メンバーはそれぞれ、山ほどの仕事を抱えています。また、長い To Do リストですらストレスに感じられないほど、アイテムの一つ残らずすべてが重大なものに思えてきます。重大すぎて、「これは昨日やるべきことだった。すべて放り出してしまえ」と思うようなものです。
これでは正常に開始できません。チームにはまずリストから何を除外すべきかという方向性が必要になります。
目を閉じて物を指し示せますか? ダーツを的に当てられますか? あらゆる指示や戦略を無視したまま、ものごとを始められますか?
ダーツを置いて、目隠しを外しましょう。努力とエネルギーを必要とするものが立て込んでいるときは、効率的に優先順位をつけるためにチームが利用できる戦略があります。では、準備を整えましょう。
タスクに優先順位をつけるべき理由とは?
タスク リストに振り回されて締め切りに追われている状態では、注意散漫になって小さいタスクからランダムに取り組もうとすることがあります。
この方法でも、少なくとも何かを片付けられます。単に合理的な順序を考えようと時間を無駄にするよりはいいと思うでしょうか?
そうではありません。優先順位付けは次のように、さまざまな理由から重要なものです。
- 影響力の大きいアクティビティへの取り組み: 戦略を考えずにチームで仕事を進めようとすると、人は最も重要なものでなくても、簡単なものから手を付けようとします。これはすべて、タスク完了バイアスに起因するものです。人は誰も、生産的に作業していると感じられる、楽なタスクに流れがちなことを表しています。つまり、スプレッドシートが更新されていても、チームのプレゼンテーション (翌週に実施予定) は手つかずのままであったりします。一方、優先順位付けすると、何が最も重要かを特定できるため、そこから開始できます。
- 依存関係の考慮: チームは単体で作業しているのではありません。自分たちの仕事を完了させるためには、他の部門やスタッフからの情報やリソースが必要です。そして、それを待っていると問題や遅れが生じることがあります。優先順位をつけると、このような依存関係を考慮した上で最も効率よく時間を活用できるため、進行を妨げるボトルネックが発生しません。
- 重複作業の回避: どのタスクから始めるか、誰が担当するかといった決まりや理由がない場合、複数人が同じ作業をするというリスクが生じます。優先順位付けによって作業の重複がなくなるため、チーム メンバーの長所を伸ばして、それぞれのアクション アイテムに責任を持ってコミュニケーションをとれます。
- 期待値の管理: 管理されていないワークロードをまとめるコツや戦略などはありません (こういったワークロードは仕事上のストレスがかかる最も一般的な原因であり、調査では回答者の 43% がその負担の重さを指摘しています)。優先順位付けによって、チーム内での責任を明確にして燃え尽き症候群を予防できます。また、必要に応じて締め切りやプロジェクト スコープを調整して、他の部門やエンド クライアントへの期待値を管理できます。
厄介なタスクばかりのときに何から始めるかを決める方法
最初に、チームが何に注力すべきか戦略を立てることにはメリットがあります。しかし、どこから始めるべきかをどう理解すればよいのでしょうか。
ご安心ください。その方法は 1 つではありません。チームの皆さんが非常に長い To Do リストを理解して順番に論理的に処理を開始できる、さまざまな方法があります。
1. To Do リストをビジネス目標にマッピングする
チームの皆さんは、常に忙しく働くために頑張っているのではありません。実際にビジネス全体を進めるための作業に取り組みたいと考えているはずです。
そのためにこの戦略を実施するのです。フリーランスのライターであり、Adswerve の業務運営スペシャリストの Alyssa Towns 氏は、「チームとプロジェクトの作業をビジネス目標と連携させること」をアドバイスしています。チームの To Do リストからそれぞれのタスクを選んで、このタスクがサポートする広範なビジネス目標は何だろうか? と自問してみます。これは次のような理由から役立ちます。
- 必要だと判断した場合は、中堅または上位経営陣からアドバイスを求めやすくなる。
- 簡単に始めやすい作業ではなく、最も影響の大きい作業に集中できる。
- その作業が実際に重要なのか、単にそのように感じるだけなのかを、一歩下がって確認する必要がある。
「作業が現在の目標に沿っていなければ、とりあえず後に回しましょう」と Towns 氏は述べています。
各タスクがサポートするビジネス目標を追跡する必要があるなら、Trello のカスタム フィールド Power-Up を使用してみてください。Trello カードのそれぞれに [Business Goal (ビジネス目標)] フィールドを追加してドロップダウンを選択し、そのタスクが関連するビジネス目標を入力します。
これは焦点を広げた基準として、核心に近い作業に取り組んでいる場合にも利用できます。
2. 仕事に優先順位マトリクスを利用する
映画の話ではありません。これは優先順位マトリクス (アイゼンハワー マトリクスとも呼ばれます) を使用して To Do リストを理解し、優先順位をつけるのに役立ちます。
その仕組みを説明します。正方形を描き、それを 4 つのボックスに均等に分割します。左側のボックスに、「重要」と「重要ではない」というラベルを付けます。上側には、「緊急」と「緊急ではない」というラベルを付けます。
これを使用して作業を分類します。従業員のトレーニング セッションは緊急かつ重要なものですが、以前のジョブ アプリケーションのアーカイブは緊急でも重要でもありません。それぞれを該当するボックスに入れましょう。
それぞれのタスクについて、同様に進めます。すべての作業を該当するボックスに振り分けたら、これをガイドとして利用します。
- 緊急であり重要である: これは最優先事項です。リストの上位に移動しましょう。
- 緊急ではあるが重要ではない: これは委任できます。引き受ける人が見つからなければ、自分の 2 番目の優先事項になります。
- 緊急ではないが重要である: 今後のスケジュールで取り組む時間を確保しておき、後で進められるようにします。この時点では、集中して取り組む必要はありません。
- 緊急ではなく重要でもない: 現時点では、自分の To Do リストに記載する必要もありません。除外しておきましょう。
このマトリクスはチームの皆さんがタスクの階層を特定して、それに応じて行動するための簡単な方法です。To Do リストからランダムに選択するよりも、はるかに効果的で効率的です。
3. 簡単に達成できるものを探す
先ほどは、簡単なものから始めてはならないと説明しました。その方法だと生産性に対する誤解によって、重要なタスクから意識が逸れてしまうのではないでしょうか。
場合によってはそうです。ただし、どのようなルールにも例外はあります。特に、チームがキャパ オーバーの主要なケースを扱っており、燃え尽き症候群に陥るような場合には当てはまります。
仕事に関連するストレスは疲労に直接かかわることがさまざまな研究で証明されています。そのため、チームの作業がすでに停滞していると、最も重要かつ困難なプロジェクトに正面から取り組む気力を取り戻すのが難しいことがあります。
チーム全体の空気が淀んで及び腰になっていると思われる場合は、達成しやすいものから始めるとよい場合があります。Lendbuzz のエンジニアリング VP である Frank Pinto 氏は、「状況が安定していない場合は、達成しやすいものから始めましょう」と述べており、それこそモチベーションを上げることに役立つと強調しています。
簡単なタスクをいくつか完了して達成感を得られれば、気力が少しずつ高まりはじめ、ますますモチベーションが上がり、処理する必要のある手強い作業に取り掛かれるでしょう。
4. すべての要因を考慮する
優先順位を整理する場合、ほとんどの人が 1 つの指標、つまり締め切りに注目する傾向があります。いつ終わらせる必要があるかで順序を決定するのです。
このアプローチが適材適所なケースもあります。しかし、そのタスクにどれだけの作業が関連するのかから、そのタスクに取り組むためにどのような準備が必要になるのかまでの、その他の重要な要素が考慮されません。
多くの管理者が一歩引いて実施するタスクの他の側面を考慮するのは、そのためです。これには次のものが含まれます。
- 影響: ビジネス目標、チーム、顧客に対して、このタスクがどのように影響するのか?
- 労力: そのタスクを最終的に完了させるために、どれだけの作業が必要なのか? その作業は困難か、簡単か?
- スピード: タスクはどのくらいの時間で完了できるのか?
- 自信: そのタスクへの取り組みに対してチームがどれだけ準備できているか? すぐに取り組める状態か、または気後れしているか?
Catch.co のマーケティング責任者である Noelle McEntee 氏は、この同一の視点からすべてのタスクを評価すると、今日、翌週、さらに翌年にも及ぶ優先順位付けに一貫性を保てると述べています。
また、Compound Growth Marketing の創設者である John Short 氏は、この質問の答えをただ推測するよりもデータを見直すほうが、現実を根拠とした評価が可能になると述べています。
このような要素も、Trello で追跡できるものの 1 つです。ラベルを作成してカードに割り当てれば、影響力は大きいが労力が少なくて済むものなどを簡単に見つけられます。
仕事が納期に間に合わないときの対処方法は?
評価、分類、順序の見直しが完了しました。それでも、すべてを完了できないという事実に打ちのめされています。少なくとも、元の期間内では無理なようです。チーム全員で 24 時間働いたとしても、To Do リストにあるアイテムすべてを割り当てられた締め切りまでに終わらせることは、到底叶いません。
しかし、ここで (安易に) 諦めて立ち止まってはなりません。予期せぬことは起こるものです。そして、誰でも期限を延ばすことはあります。
ここで重要なのは、明確で先を見越したコミュニケーションです。間に合わなくなるタスクを協力して特定し、それによって影響を受ける人やチームに連絡します。
チームがすでに無理を重ねていて、締め切りを延ばす必要があることを丁寧に説明します。タスクの期日を変更したら、それを厳守します。締め切りの先延ばしはあくまで例外であり、ルールではありません。
能力を高めて改善し、チームとして成長する
今はできるように感じられなくても、チームが担当する厄介なタスクをやり遂げられるようになります。そうなった時こそ、自分たちの仕事を振り返ってやり方を詳しく観察し、将来のために改善するのです。前に進むために、次の点を考えてみます。
- プロジェクト スコープの管理を改善できるか?
- より現実的な締め切りを設定すべきか?
- チーム メンバーを増やすべきか?
- アクセスできるリソースを増やすべきか?
チーム全体で緊急の優先事項を抱えたときこそ、単にそれを終わらせるのではなく、納期が遅れた原因などから何かを学べるのです。
その大部分を終わらせたら、振り返り、成果を上げるための能力を高める方法を考えるようにします。そうすることにより、チームはより戦略的かつストレスの少ない方法で To Do リストのタスクをこなせるようになります。
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